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2017年

2017年09月23日

渡邊隆一君(整84回)第35回日本骨代謝学会優秀演題賞を受賞

2017年7月27日から29日に福岡市で開催された第35回日本骨代謝学会において渡邊隆一君が、”Enpp1によるKlothoを介した異所性石灰化制御機構の解明 (Enpp1 regulates Klotho expression under phosphate overload conditions)”の演題で、優秀演題賞を受賞した。
 日本骨代謝学会は骨代謝を中心にミネラル、筋肉、免疫、メカノバイオロジーなどの幅広い分野と結びつきながら臨床・基礎医学の内科系、外科系、基礎系の医師・歯科医師・研究者から構成される領域横断的な学会である。優秀演題賞は、本学会に演題登録された抄録の中で、審査委員会で厳正に審議、採点された結果、特に得点の高い基礎系・臨床系の各々2題に対して授与されるもので、極めて競争が激しく受賞の難しい、大変名誉ある賞である。
 渡邊君は大学院博士過程において当教室の運動器科学研究室に所属し、石灰化過程において石灰化を抑制するピロリン酸産生を担うectonucleotide pyrophosphatase/phosphodiesterase1 (Enpp1)遺伝子の変異マウス(ttwマウス)を用いた異所性石灰化の発症機序の研究で、リン代謝ならびに老化を制御するKlothoタンパクの発現にEnpp1が大きな影響を与え、老化の一部に関与している可能性を報告した。本報告では、体内でリン代謝不能のttwマウスに通常の食事の1.5〜2倍程度の高リン食を投与すると通常食と比べて大動脈や腎臓の血管石灰化や骨粗鬆症が顕著に認められ、老化症状の急速な進行と寿命の短縮を認めた。これは、多くのリンを含んだ保存料などの食品添加物を多量に摂取している現代人の食生活を反映したものである。Enpp1が欠損したttwマウスでは、後縦靱帯骨化症(OPLL)に代表される脊柱靭帯骨化も同時に認められるが、リン摂取量の増加は靭帯骨化が増悪するとともに腎臓でのKlothoの発現が有意に低下することを明らかにした。さらに注目すべき点は、この病態が腎臓におけるKlothoのビタミンD合成制御の破綻によるものであり、食餌中のビタミンDを制限すると、血管石灰化や靭帯などの異所性石灰化が軽減し、寿命も延長することを明らかにしたことである。
 本研究は、現代社会の健康寿命延伸に向けて、重要な老化制御機構の一端の解明であると同時に、渡邊君の研究成果が加齢に伴う運動器の機能低下を防ぎ、ヘルシーエイジングに向けた予防医療に臨床応用されることが大いに期待される。


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