クリニカルパスについて

【1】クリニカルパスの由来

煩雑な生産工程を管理するPERT(Program Evaluation and Review Technique)の「Critical Path法」から由来しています。導入当初は、画一的な方法の押し付けと決めつけられ、できあいの医療「Cook Book Medicine」と非難されていました。医療は本来、個人個人で異なっており、ひとりひとりの状態に応じてすべきものであるはずですが、この方法がそれと対極をなすものと誤解されてしまったからでした。
しかし、いまやクリニカルパスは、アメリカではしっかりと受け入れられており、病院によってはあらかじめカルテに挟み込まれているほどです。

【2】クリニカルパスの定義

クリニカルパス法の定義で、もっとも広く認められているのは、「医療チームが共同で開発した、患者の最良のマネジメントであると信じた仮説」(Spath 1994)というものです。ここでのポイントは、「医療チーム」と「最良のマネジメントであると信じた仮説」との2つの言葉にあります。

【3】クリニカルパスの背景

直接の背景は、アメリカで1983年からの医療費削減の目的で、老人医療費の支払い方式がそれまでの出来高払い方式から、診断名に応じて一定額を支払う方式であるDRG/PPS(診療群別定額支払制度)が導入されたことにあります。
診断名が決まると医療費が決定してしまうので、病院が収益をできるだけあげようとすると、患者に早く退院させることを目指すこととなります。単に早い退院を無理矢理進める通常のやりかたを踏襲すると、どうしても医療の質が問題となります。質が低下すると利用者である患者は、その病院から足が遠ざかります。
質の向上・患者満足度の改善(サービス向上)とコスト削減という相矛盾することを解決するために、なんらかの医療管理手法が必要となってきたことが、クリニカルパス導入の歴史的背景です。

【4】クリニカルパスの長所

様々なメリットが考えられます。患者さんにとっては、受ける医療の内容が理解しやすく、より高い医療サービスが受けられます。医師や看護師にとっても以下のようなメリットがあります。

(1)検査や処置のオーダーや、それに伴う段取りの手間がなくなり患者管理が簡便となる。

(2)必要な検査や処置のオーダーの抜けがなくなる。

(3)必要なオーダーが行われ不必要なオーダーがなくなるため医療適正化につながる。

慶応義塾大学医学部 医療政策・管理学教室 池田俊也

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