臨床データ

脊椎・脊髄グループ上肢グループ下肢グループ腫瘍グループ

【腫瘍グループ】

 骨・軟部腫瘍の診断・治療はきわめて特殊なものであり、整形外科領域の疾患の中で最も専門性が要求される分野といえます。 慶應義塾大学整形外科は、最も古くから本疾患に取り組んでいる機関のひとつであり、経験症例数は我が国有数であります。
 現在、大学には4名の経験豊富なスタッフと2名のチーフレジデントが勤務しており、内5名は整形外科専門医、このうち1名は日本癌治療学会暫定教育医、1名は日本癌治療学会認定医であります。多剤併用全身化学療法を行う症例数も年々増加しており、病棟には専門の薬剤師、看護師を有し腫瘍チームを形成しています。年間手術症例数は約350例であり、そのうち原発性悪性骨・軟部腫瘍が20%、良性骨・軟部腫瘍が70%であります。
 悪性腫瘍に対する外科的治療は、大半の症例に患肢温存手術を行っています。骨腫瘍の切除後再建には、腫瘍用人工関節置換による再建や、生物学的な再建である骨移植を行っています。骨移植については、血管柄付き自家骨移植、熱処理自家骨移植、同種保存骨移植など、症例に応じて再建法を選択しています。 転移性骨腫瘍に対する治療も積極的に行っており、根治を目指した広範切除から、QOL改善のための手術、骨転移制御のためのビスフォスフォネートを用いた薬物療法などを行い、その業績を報告してきております。また、軟部腫瘍の外科的治療に際しては、切除後の再建に形成外科専門医があたり、機能的、腫瘍学的面はもちろんの事、審美的面からの配慮もなされています。肺転移例に対する転移巣の外科的治療に関しては、慶應義塾大学呼吸器外科のグループがあたり、凍結融解療法などの先端的治療を行っております。また、良性疾患に関しても類骨骨腫に対するCTガイド下治療など、早期社会復帰を目指した低侵襲手術、先端的技術を用いた治療を行っております。
 昨今の分子生物学の発展により、骨・軟部腫瘍の病態解明も進みつつありますが、我々のグループでは、大学研究機関としての有利さを生かし、遺伝子診断の臨床応用や新規分子標的治療薬の臨床試験などトランスレーショナルな臨床にも心がけています。
 また新たに栃木県立がんセンターが関連病院に加わり、骨・軟部腫瘍専門医の教育・育成にも努めており、国立病院機構東京医療センター、東京歯科大学市川総合病院、栃木県済生会宇都宮病院、川崎市立井田病院などのがん治療の拠点病院に専門医を派遣しております。




矢部啓夫、森岡秀夫

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